ブリーフエッセー from グリーンウォーカー No.3

 先日6月11日、エルパーク仙台で行われた「大学生によるエコ&エネルギーワークショップ」に、ご縁があってファシリテータとして参加してきました。2年生〜大学院生までのエネルギッシュな学生と様々な話ができ、とても良い刺激になりました。

 このイベントは、東北電力さんが主催し、仙台市内の大学生が半年かけて環境問題について調べ、それを演劇を交えて発表するというもの。詳しくは公式ブログをご覧下さい。

 今年のテーマは「想像する・行動する・あきらめない」。エネルギー資源節約・食の環境負荷・使い捨て社会について、小中学生と大学生を観客に迎えた舞台発表です。

 数年前から何回か開催されていて、実は、去年もファシリテータで参加していました。しかし、去年のワークショップでは、自分の中でどうも納得しきれない部分がありました。

 去年のキーワードのひとつは「切り身社会」でした。”もともとの本質や全体が見えづらい社会のことや,考えようとしない傾向のこと”だそうです。都市部で「魚は海でもスーパーに並べられている切り身の姿のまま泳いでいる」と思い込んでいる幼児が増えていることから、「切り身」という言葉につながっています。「割り箸を使う・レジ袋をもらうといった、普段の何気ない『切り身』の行動が環境負荷につながっている」というメッセージが、ステージで発表されました。

 ところが、意地の悪いことに、私はこう考えてしまったのです。
「じゃあ、この中で、切り身じゃない魚をさばける人は、何人いるんだろう?」
環境問題に取り組む大学生でも、アジやイワシですらさばけない人がほとんどでしょう。

 環境問題についてそれなりに勉強してきたつもりなので、下手に知識があるものだから、
「割り箸も、竹か間伐材か外材かで意味が違う」
とかなんとか考えてしまい、
「割り箸や買い物袋は、自然環境に悪いから減らそう!」
という単純なメッセージは、陳腐なものに感じられてしまったのです。

 しかしその後、とあるアルバイトをしていたときのことです。パートのおばさん(お姉さま?)から、「プラスチック容器を捨てるときは、水で洗ってからのほうが良いらしいですよ」との一言。

 今まで住んでいた地域はプラスチックを分別していなかったので、汚れたまま出すと分別の時に腐って困る、という事実を知りませんでした。どんなに知っているつもりでも、身近なことですら、意外と網羅しきれていないものだなあと、その時思い知らされました。

 人間は、自分の知っている範囲でしか行動できないものです。しかし、環境問題というものは、知らないことだらけの真っ暗闇の中で取り組まなければなりません。さらに、知っていても実行するかどうかは別の話です。

 今まで安全だと思われていた添加物や農薬が、次々環境ホルモンだったと発覚していくような中では、リスク予測のしようがありません。人工合成物なら「使わない」という選択肢も無くはないですが、日常生活の中では、落とし穴が怖くて「原始生活に戻る」というわけにはいきません。

 むしろ大事なのは、自分がしていることが悪い事だと知るたびに、それをすぐ改める態度ではないでしょうか。いくら環境問題に精通していても、新しい事実に対して行動を改めることができない人は、そこで止まってしまうでしょう。逆に、自分の環境負荷行動に「気づき」が得られる感受性があるなら、それが小さなものでも、これからもっとたくさんの気づきを得る機会があることでしょう。

 去年のワークショップはわだかまりがありましたが、今年は気持ちよくお仕事ができました。きっと、人間みんな50歩100歩なんだと思います。でも、「これから何をすればよいのだろう」と考えれば、斜に構えることも無く、柔軟で前向きな姿勢になれます。

 「環境保護運動の集会なのに、燃費の悪そうな4WDで駐車場が満車」という皮肉を聞いたことがあります。デカい車が必要な止むを得ない事情があるのか、最近の車は燃費が良いことを知らないのか、それとも単にエコの隠れ蓑を着たエゴなのか、いろいろな理由あっての意思決定でしょう。ただ、あのワークショップのエッセンスを汲み取った学生たちなら、きっとバスを使って参加すると思います。

 私も「気づき」を得たのか、それともメンバーの熱意に感化(?)されてしまったのか、なんだかミイラ取りがミイラになった気分です。「ただの啓蒙キャンペーン」と軽い気持ちで参加したはずなのに、いろいろと考えさせられるイベントでした。

筆者紹介
吉良洋輔 東北大学文学部 行動科学専修3年
■趣味:料理、自転車、プログラミング
■取材に対しての抱負:
取材を始める前は、ただ消費者として商品や生産者に対して厳しい視点を持って行動しようと努力していましたが、企業の方々の考えをお聞きしているうちに、供給サイドの事情や考え方にも想像力を働かせることができるようになったと思います。取材を通して、自分自身がより良い選択のできるようになると同時に、自分の感じたことを他人に発信できるようできたらと思います。

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