みやぎグリーンウォーカー

第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業

所在地 〒981-3408 黒川郡大和町松坂平8丁目3番4 
電話   022-345-8808
URL   http://www.abekogyo.com
取材日 平成20年3月5日(水)

株式会社 安部工業安部工業は、産業廃棄物の中間処理を行っています。 分別処理工場「は〜とふるリンク・あべ」のある場所は、黒川郡大和町の仙台北部中核工業団地内。「みやぎエコファクトリー」内にあり、県に指定された環境・リサイクル事業者が集まるところです。

主な事業は、建設系廃棄物の分別です。 建設業者が建物を取り壊した後の廃材を、処理費用と引き換えに安部工業が引き取ります。そして、プラスチック・木片・繊維(布)・紙・コンクリートなどに分別。分別した物は破砕して他の会社の工場に送り、再資源化します。どうしても再利用できない物は、焼却や埋め立て処分場に搬送します。

今回は、管理部部長の渋谷義徳さん・統括部長の田手充さん・環境部工場長の安部賢次さんの3人にお話を伺いました。(写真左から 渋谷さん、田手さん、吉良、大工原)
 「産業廃棄物」という言葉に、ネガティブなイメージを持っている人も多いかと思います。

しかし、廃棄物処理を行う全ての企業は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(略称「廃掃法」)に従わなければなりません。もしも法令に違反した場合、産業廃棄物処理業の許可が取り消されます。取引先からの信頼も失うばかりでなく、会社の存続自体も危ぶまれるのです。

田手さん 過去には、短期的な利益の追求のみが優先し、法を犯しマスメディアをにぎわせた事業者もいます。そのような企業は、もはや事業は成立しません。

法令の遵守は最低限のこと。積極的に環境への配慮をしない処理業者は長続きしない、といいます。
これまで安部工業は、産廃処理業の中でも、特に積極的に環境対策に力を入れてきました。それは、単純な道徳意識からだけではなく、事業を長く発展させるための「先見性」だと言います。

環境事業へ転換と責任体制の確立

環境関連業界に進出する以前は、安部工業は電力会社の送電線の鉄塔敷設工事に関わり、コンクリート建築資材の運搬をしていました。

一方、高度経済成長期のひずみから、日本各地で深刻な環境問題が発生していました。安部工業は、環境ビジネスが必ず要求されることを確信。産業廃棄物の収集運搬業に進出したそうです。現在では関東から東北をテリトリーとして29の行政官庁から許可を取得し事業を行っています。

運搬業を行う一方、運搬した先の廃棄物処理事業者が不適切な処理を行えば、安部工業までも信用を失いかねません。大きなリスクを避けるためには、どうすれば良いのでしょうか。

一つの答えは、より広い処理工程を安部工業でカバーすること。運搬から処理まで、廃棄物処理に一貫して責任を持つことができます。そこで建設した中間処理工場が「は〜とふるリンク・あべ」です。

今は、どの企業も環境配慮を求められる時代。廃棄物を排出する事業者からは、適切に処理できる処分事業者が求められます。

早くから環境対策の重要性に気づいていた安部工業は、順調に事業を展開。排出事業者から「環境に優しい廃棄物処理」が信頼され、年々委託処分量は増えています。

「は〜とふるリンク・あべ」の様子

工場の中は、意外とシンプル。大型機械は、ごみを動かすパワーショベル3台、破砕機が2台・混載物手選別ライン一台。これらの設備で、大量の廃材をひたすら分別及び破砕をします。

運び込まれた廃棄物は、パワーショベルなどによって大まかに選別した後、ベルトラインにのせて手作業で分別します。紙、木、プラスチックなどは破砕機で適度な大きさに砕き、リサイクル可能なチップにします。

分別した物は、一時保管の後、近くの再処理工場に運びます。コンクリート片・紙・プラスチック・木くずは、同じ工業団地内の他の「エコファクトリー」に搬入され、燃料や再生原料などに加工されます。

従業員は、昼と夜の2交代制。昼は20人弱、夜は10人前後が働きます。搬入量が年々増えており、夜の作業は24時を超えることもあるそうです。

(写真左:手作業の分別の様子 右:破砕されたもの)

中間処分のみを行う工場なので、「まず汚染を出すことはありえない」と言います。それでも、周囲の大気・水・土壌に影響が出ていないか、常に監視も怠りません。また、「みちのくEMS」を取得し、事務用品のグリーン購入にも取り組んでいます。

現在、どうしてもリサイクルできないゴミは、他の最終処分業者に委託して埋め立てています。できることなら、自前で最終処分場も確保し、処理に一貫して責任を持ちたいそうです。もしも委託先がミスや不正を起こしたら、安部工業の信用も失いかねないからです。

100%リサイクルできない悔しさ

「は〜とふるリンク・あべ」では、搬入されたごみの約60%を分別し、リサイクル工場に送っています。ところが、残る40%にも、あと少しでリサイクルできるものが多く含まれています。

たとえば、ビニール袋などのプラスチック製品。汚れの少ないものは再びプラスチックにリサイクル、少し汚れているものはRPFとして燃料にします。ところが、汚れのひどいものはゴミとして処分するほかありません。
ゴミを汚し、リサイクル率を下げる一因が、工事現場で分別してもらえないこと。分別処理工場に送られてくるごみは、最近になって少しずつ改善されているものの、ほとんど分別されていません。

もしも出す人のひと手間があれば、リサイクルできたはずのゴミ。リサイクルできないゴミの山を指差して、「リサイクルリサイクルってどんなに叫んでも、結局こんなにゴミになってしまう」という田手さんのひとこと。悔しさがにじみます。

環境とコストのバランス

その一方で、「現在ではリサイクル業も競争が激化している」といいます。

産業廃棄物の中間処理を業務としている「は〜とふるリンク・あべ」のような企業は他にもあり、より安価で処理を請け負うことができなければ他の業者に勝つことはできません。いくら環境対策に配慮して、リサイクル率を上げたとしても、それにかかってしまうコストが高くなりすぎればビジネスは成功しません。

低コストで、かつ環境にも優しい事業を展開しなければ、利益を上げることはできない。両立を求められることが、廃棄物処理事業の厳しい側面です。

「産廃」をもっと考えて欲しい


(左から 渋谷さん、安部さん、吉良、大工原)

建築廃材は、私たちが「家」に住む限り、必ず排出されます。

ところが、家の解体工事は建設会社に頼みます。建築廃材の処理も、全部含めての委託です。ですから、建設廃材に直接関わることは、ほとんどありません。

産業廃棄物は、私たちの生活とつながりが少ないです。だから関心も薄い。「(もしも処理しているゴミが)一般廃棄物だったら、ここまで反対は受けないだろう」と言います。

しかし、自分の家を壊した時、自分で廃材は処理することはできません。安部工業のような中間処理業がなければ、リサイクルできる物もゴミになります。きちんと処理する仕組みが無ければ、不法投棄にもつながります。

もしも産業廃棄物を処理する会社がなければ、そのゴミはどうなってしまうのか。産廃処理のあり方を一緒に考えてもらいたい、ということが安部工業からのメッセージでした。 (終)


取材メンバー自己紹介
吉良洋輔

東北大学文学部 行動科学専修二年
九州の大分出身ですが、東北の自然もすぐに好きになりました。環境と社会の関係について興味があります。


バックナンバー
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  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
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  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
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