みやぎグリーンウォーカー

第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組

所在地 仙台市青葉区北山一丁目2番15号
電話   022-271-9211
URL   http://www.fukamatsugumi.co.jp/
取材日 平成21年8月17日

株式会社深松組 深松組は、大正14年創業で、今年で開業84年を迎えます。地元に根差し、建築、土木、賃貸事業を柱に事業を展開されています。また清掃活動、防犯活動、建設に携わった幼稚園へ毎年砂場の砂の入替え、災害時の対応など様々な面で地域に貢献しておられます。

公共工事はマスコミで時おり批判されることもありますが、私たちの生活になくてはならないものです。そもそも建設自体が、社会貢献であるとも言えます。昨今の洪水のニュースを目にした人も多いでしょう。最近は気候変動で、100年に1度の雨が頻繁に降っています。洪水のことを考えれば、ダムの建設は、人の命に関わるものともいえます。公共工事削減で建設業界は厳しい中にいます。今回の深松徹さんのお話では、日本の就業人口は5900万人で、うち建設業界の人間は526万人となり、約1割に及びます。建設業界の変動は就業者にも大きな影響を与えるでしょう。

さて、そのように社会に大きな影響力を持つ建設業は、実際の工事で多種多様な材料を大量に使用します。建設業では、工事で排出される廃棄物の環境負荷について、どのような対策をしているのでしょうか。また、深松組の環境への取り組みにはどのような特徴があるのでしょうか。深松組常務取締役である深松徹さんにお話を伺いました。

ISO9001、ISO14001を宮城県内の建設会社としていち早く取得

深松組の環境への取り組みは、環境マネジメントシステムに関する規格であるISO14001取得から始まります。2000年に、深松組は、宮城県内に本社がある会社として初めてISO9001、ISO14001を取得しました。1999年当時建設省は品質マネジメントシステムであるISO9001の取得を各企業に呼びかけていました。この呼びかけを受けて、深松組はISO9001にいち早く取り組みました。そしてこのISOを学ぶ中で、ISO14001の存在を知ることになったのです。

当時深松組は自社の製品について、品質以上の価値を求めていました。ISO14001の環境管理規格は企業の価値を高めるものと思われました。またISO14001はISO9001と共通する部分があり、その取得は全くゼロからのスタートではないことも後押しになりました。そこで社長の一声で、ISO14001取得も決断したのです。

ただ実際にISOを取得することは大変でした。審査の費用だけでも数百万円かかります。もしコンサルタントを頼むと当時は更に数千万円がかかり、その上、管理の維持費もかかります。今回お話しいただいた深松徹さんは、以前在籍していた建設会社で、ISO9001を学んでおり、コンサルトなしで取得の準備をすすめたということです。ただISO9001とISO14001では、やはり違う部分もあり、それについては新たに勉強が必要で苦労したそうです。それでも深松組は、ISO9001の取得からわずか9ヶ月というスピードで、ISO14001を取得することができました。当時、宮城県内に本社のある地元建設会社としては、ISO14001、ISO9001の取得はいずれも初めてのことであり、地元のメディアにも取り上げられました。

ISO14001を取得して

ISO取得後、業務が増えて忙しくなったといいます。ISOの書類は膨大です。工事の過程もすべて知らせなくてはなりません。しかも工事費は変わりません。当時、建物の解体はすべての部位を一緒くたに廃棄する「混合」という方法が主流でした。しかし現在の産業廃棄物処理場では、混合を受けつけません。そのため工事の時点で、廃棄物を分別する作業が加わわりました。

一方でISO取得は経営に利点をもたらしています。ISOの基準に従うことによって、オフィスの経費を削減できました。実際に電気代、紙などオフィスの節約により、オフィス経費が4割下がったといいます。

ISO14001取得からさらなる環境への取り組みへ

ISO14001取得後、深松組は環境への取り組みに関心を持ち、みやぎグリーン購入ネットワークやNPO法人環境会議所東北の会員になりました。現在は環境会議所東北の理事として積極的に関わっておられます。会員になることで業務上の利点もありました。グリーン購入ネットワークや環境会議所東北には、宮城県内はもとより県外の様々な業界の企業や団体が参加しています。いろんな業界のアイデアや手法を学ぶことで、自社の経営や事業展開に役立てることができます。環境の情報のアンテナを広げることで、新たな事業展開が可能になっていくのです。

深松組の環境への取り組み方は、経営の可能な範囲で環境に取り組んで行くことであるとおっしゃっています。深松徹さんは「大きなことはしない。小さなことをできる範囲で行うことを宣言し、それを継続し実行する」ことが大切だと強調されました。

また、深松組は、堅実に経営と環境対策に取り組む一方、環境に関わる取り組みとして大胆で興味深い働きにも参加されています。それが、みやぎ未来バイオマス合同会社設立です。みやぎ未来バイオマス合同会社では、農業生産者、建設業者、商社、研究者などが、協力し、収穫米からバイオエタノール燃料を生産する研究実験を行っています。また地元で生産したエネルギーを地元で使うことで、地産地消にもつながります。
バイオマスの研究はすぐに深松組の建設・土木・賃貸事業に結びつくものではありませんが、新規事業を模索する「探究心」として協力されているとのことです。産・学・官、異業種との関わりを通して、環境事業をビジネスとして立ち上げていく取り組みです 。

今回は深松組の建築・土木が社会にもたらす意義、影響について、非常に熱意を持って語っていただきました。企業はまず、事業を確実に行わなければなりません。建設業では、建設すること自体がすでに環境づくり、社会貢献でした。さらにその事業を進める中で、環境負荷を見直すという着実な姿勢を窺うことができました。バイオマスなど新たな環境への取り組みもされるそうですが、今後の展開も楽しみです。

[グリーンウォーカー]メンバー紹介!

大学生が会員の取材にお伺いし、HPに掲載します。取材希望の方は事務局までお申込ください。

吉良洋輔

吉良洋輔東北大学文学研究科行動科学専攻修士1年
趣味:料理、自転車、プログラミング
取材に対しての抱負:
取材を始める前は、ただ消費者として商品や生産者に対して厳しい視点を持って行動しようと努力していましたが、企業の方々の考えをお聞きしているうちに、供給サイドの事情や考え方にも想像力を働かせることができるようになったと思います。取材を通して、自分自身がより良い選択のできるようになると同時に、自分の感じたことを他人に発信できるようできたらと思います。


高橋良知

高橋良知東北大学文学研究科 中国語学中国文学専攻分野修士1年
趣味:尺八、散策
取材に対しての抱負:
買い物袋の有料化、エコ箸の普及など、私たちの身近なところにエコの取り組みが広がっています。私たちが普段目にすることができないところでも、企業のみなさんは多くの環境対策をされています。今回、実際に地元の企業の方から、環境への取り組みをお聞きする機会に恵まれました。それぞれの企業は、驚くような工夫と努力をされています。企業の方々の貴重なお話と思いを大切に受けとめ、記事を書いていきたいと思います。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社

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