みやぎグリーンウォーカー

第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社

所在地 仙台市青葉区五橋一丁目5-3 アーバンネット五橋ビル
電話   022-726-3160
URL   http://www.r-tohoku.ricoh.co.jp/
取材日 平成22年3月11日(木)

リコー東北株式会社 第11回グリーン購入大賞 審査員奨励賞を受賞されたリコー東北株式会社さんに“もったいない活動”についてお話を伺いました。
まずオフィスに驚きました。普通のオフィスと決定的に違うことは、とにかくモノが無いこと。机の上に書類が積まれることはなく、棚や引き出しもありません。外出中の社員の机には、全く何も置かれていません。
仕切りの無い広いオフィスに、何列かの平机。その上にはノートパソコンが一台だけ。部屋の中央にだけ、複合機とゴミ分別ステーションがあります。
たくさんの社員の方がテキパキと仕事をしているのですが、どこのオフィスにもありがちな、散らばった書類やファイルなどの雑然とした「紙の山」が無いのです。
今回お伺いしたリコー東北さんは、プリンター・コピー機・スキャナーやその複合機など、リコーの事務機器を販売しています。大友茂政さん、国分千春さん、原美由紀さんの3人にお話を伺いました。

「エコでないこと」が面倒になる仕組み

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分別ステーション・掲示板
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モノを置かない理由は、ゴミを出さないためです。必要最低限のものしか置かなければ、ゴミは出ません。収納スペースがあると、要らないものもつい持ち込んでしまい、大掃除の時にまとめてゴミに出してしまう。
ゴミは、オフィス中央の分別ステーションに捨てに行きます。印刷済みの紙はサイズ・印刷面などで分別。その他のゴミは、金属・プラスチック・雑紙・燃えるゴミなど、素材に応じて細かく分けます。間違いやすいものは、ステーションの掲示板に貼ってあります。

分別ステーション以外にゴミ箱は一つも置きません。分別ができませんし、また気軽に捨てる事ができると、減らそうという気持ちになりません。
驚いたのが、ステーションにあるゴミの少なさです。気軽にゴミを捨てる事ができないからでしょうか。
普通のオフィスなら、「エコでないこと」の方が楽にできます。例えば、ゴミを分別せずに自分のゴミ箱へ捨てた方が簡単です。しかし、リコー東北のライブオフィスでは、「エコでないこと」をするのが面倒になっています。むしろ、「エコなこと」をした方が楽な仕組みになっているのです。
日頃の小さな動作は、つい無意識のうちに行ってしまいます。だから、「分別をやろうと思っていても、つい面倒で混ぜてしまった」ということが起きてしまいます。そこで、思い切ってこのような仕組みを作ったことで、自然と細かい心配りができるようになっています。

人にも優しく

photo オフィスの中は、モノを置かないという、究極の整理整頓がいつもできています。当然、仕事も快適にはかどりそうです。片づけが面倒でつい散らかってしまう、ということが起きない仕組みを作ることで、環境だけでなく人にも優しい、効率の高いオフィスになっているのです。
また、「残業しづらい仕組み」を作ることで、残業対策と環境対策の両方を目指しています。月曜・水曜・金曜は18:30になったら消灯され、その後はスタンド・ライトを使わなくてはいけません。そうすることで、1人のためにフロア全体の照明をつける「無駄」を減らすことができます。
残業があれば、小さなスタンド・ライトを頼りに仕事をしなくてはなりません。「まあ残業できるから良いか」という気持ちが無くなれば、日中で計画的に仕事を終わらせよう、という緊張感が生まれます。

もちろん、時間内で終わらせることのできない仕事量があるときも、あると思います。でも、集中すれば日中で終わるのに、ついダラダラと長引かせてしまうことも、案外多いのでは無いでしょうか。整理整頓が自然と身につく、テキパキと仕事を終わらせる癖がつく、余計なゴミは作らないし持ち込まなくなる、そのようなオフィスになっているように感じました。

自社製品を活かして

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リコー東北さんの主力商品は、コピー機・プリンター・スキャナー・ファックスなどの機能を持つ複合機です。その製品をオフィスに置いて、無駄を減らす「心配り」を仕向ける仕組みを実演しています。

プリンターで印刷タスクを投げた後は、つい取りに行くのを忘れてしまい、印刷物が他の人に捨てられてしまうことがあります。そこで、機器の前まで行ってICカードをかざさなければ印刷されないようにし、印刷物をすぐに持ち帰る仕組みになっています。
また、両面・集約・白黒印刷などを使うことで、紙やトナーを節約することができます。この回数をカウントしており、誰が何枚印刷したか張り出されています。通常印刷に比べてどれだけ節約できたかも、一目瞭然で分かります。

ペーパーレス化も進めています。会議では全員ノートパソコンを持ちこみ、紙媒体のレジュメをもらう代わりに資料を画面に映します。プロジェクターも完備されており、すぐに繋いでプレゼンができます。今回の取材でも、プロジェクターを使って説明をして下さいました。

社員全員で取り組む

ゴミの量や分別の間違いのチェック、空調の温度管理などの環境に関する取り組みは、全て当番制で行います。全員でやることが、意識を維持するポイントだそうです。
大事なことは、役職に関係なく取り組んでいることです。部長も当番が回って来ますし、社長室にもゴミ箱はありません。「環境に関しては、上も下も無い」と言います。紙の節約では、役職の高い人ほど上手に減らしているそうです。
また、リサイクルやゴミ減量の結果を調べ、全員で見られるようにしてあります。成果を見えるようにすることも、モチベーションを維持する上で大切だそうです。

取り組みを広め、仲間を増やす

ライブオフィスは一般公開を行っており、顧客企業の方などが見学することもできます。多くの方が見て驚き、中には他の社員を後から大勢連れてくる方もいるそうです。リコー東北の担当者の方々は「うちのオフィスはとてもインパクトがあります」と、自信を持っておっしゃっていました。
ライブオフィスを行う背景には、「仲間として共に取り組む」という考えがあります。自社の取り組みを見本として公開することで、共感し仲間になってもらうきっかけにしているのです。

この他にも、「だてNaエコミーティング」という、取引先企業の環境活動に関する勉強会を主催しています。環境対策に取り組む取引先企業をつなぐだけでなく、リコー東北さんが他社から見習うこともあるそうです。
例えば3月に行われた会では、ライフ・サイクル・アセスメント(製品が生産・使用・廃棄されるライフサイクル全体で、環境へどのような負荷を与えるのか評価すること)やカーボンフットプリント(商品がライフサイクル全体で排出するCO2の量を、パッケージに表示すること)について、外部の講師を招いたり、勉強会参加企業の取り組みを紹介したりするそうです。
さらに五橋公園へ鳥の巣箱を設置したり、東北各地にある支社で地域の清掃活動をするなど、様々な取り組みを行っています。また、2001年にはISO14001を取得しています。

事務機器メーカーとしての使命感

photo リコー東北さんが環境についての取り組みを積極的に行うのは、「環境経営のトップランナーであるリコーグループというプライド」が理由だとおっしゃいます。

リコーグループ全体では、2050年までに、CO2 87.5パーセント削減を目指しています。これは政府が掲げる80パーセント削減を上回ります。目標に向けて、定期的にリサイクル回収率や、CO2削減成果をチェックするデータベースも作っています。
また、環境性能の高い製品やリサイクルを顧客へ提案するためには、自分たちから襟を正していかなければならない。そのような意識があるようにも感じました。
例えば、製品のリサイクルを行うためには、取引先へ不要になった機器やトナーなどの回収をお願いすることになります。この時、納入した機器の所在が分からなくなるなどの理由で回収不能になる場合もあり、苦労があるそうです。

リコーグループだけでなく、事務機器業界全体で、省エネ製品の開発、リサイクルを行う仕組みの構築、ペーパーレス化といった、環境性能を高めていく流れがあるそうです。リサイクルできる事務機器は他社と共同で集めます。不法投棄を防ぎ、業界全体のリスクを下げるためです。個々の取り組みについては同業他社と、環境対策で競争をしている状況になっています。

決して無理なことではない

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右側奥から 大友さん、国分さん、原さん
リコー東北さんのオフィスは、一見すると不便に思えるかも知れません。しかし、一度思い切って導入してしまえば、実はそれほど苦にならないのではないでしょうか。100人以上の社員さんたちがテキパキと仕事をしているのを見ると、不思議とそんな印象を受けました。
ごみ分別や両面・集約印刷などの「エコ」も、整理整頓や早帰りなど「効率アップ」も、心がけた方が良いと頭では分かっています。それでも普通は、つい低きに流れてしまい、三日坊主になってしまう。リコー東北さんのオフィスは、下に流れ落ちないようストップがかかる仕組みになっています。
環境負荷を減らすにせよ、仕事の効率を上げるにせよ、「心がけ」だけは、雑巾の水を絞るようにいつかは限界が来ます。その限界を超えるためには、心がけが自然とできる「仕組み」を作る事が必要だと感じました。(終)

取材メンバー自己紹介
吉良洋輔

吉良洋輔東北大学文学研究科行動科学専攻修士1年
趣味:料理、自転車、プログラミング
取材に対しての抱負:
取材を始める前は、ただ消費者として商品や生産者に対して厳しい視点を持って行動しようと努力していましたが、企業の方々の考えをお聞きしているうちに、供給サイドの事情や考え方にも想像力を働かせることができるようになったと思います。取材を通して、自分自身がより良い選択のできるようになると同時に、自分の感じたことを他人に発信できるようできたらと思います。


高橋良知

高橋良知東北大学文学研究科 中国語学中国文学専攻分野修士1年
趣味:尺八、散策
取材に対しての抱負:
買い物袋の有料化、エコ箸の普及など、私たちの身近なところにエコの取り組みが広がっています。私たちが普段目にすることができないところでも、企業のみなさんは多くの環境対策をされています。今回、実際に地元の企業の方から、環境への取り組みをお聞きする機会に恵まれました。それぞれの企業は、驚くような工夫と努力をされています。企業の方々の貴重なお話と思いを大切に受けとめ、記事を書いていきたいと思います。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社

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