みやぎグリーンウォーカー

第14回 再生資源の価値、分別のコスト  株式会社 佐彦

所在地 仙台市宮城野区扇町五丁目4番7号
電話   022−232−1231
URL   http://www.sahiko.co.jp
取材日 平成22年年3月11日

株式会社 佐彦 約20haの敷地いっぱいに、缶、ペットボトル、タイヤのホイール、銅線など多種の廃棄物の山が置き分けてあります。佐彦さんを訪問した前日は大雪でしたが、廃棄物の山に雪はほとんどありませんでした。前日に従業員のみなさんが、雪かきに従事したと言います。新たな資源に生まれ変わる大切な商品だからです。

今回は、代表取締役松坂直志さんから佐彦さんのリサイクル事業についてお話をうかがいました。

佐彦の事業

現在佐彦さんの事業は、再生資源卸売、ペットボトルリサイクル、廃プラスチックリサイクル、産業廃棄物処理(処分及び収集運搬)、RPF(新型固形燃料)製造です。
廃棄物の卸売業として、より小さい収集業者や自治体からの廃棄物を受け取ります。産業廃棄物業は規模によって、扱えるロットに違いが出ます。大型の産業廃棄物業者だと、大型トラック単位の産業廃棄物のみを扱うので、小さな収集業者の廃棄物は取り扱うことができません。その中で佐彦さんは、主に中〜小ロットのニーズをくみ取ります。宮城野区の仙台工業団地に所在し、その周辺地域の収集業者からたくさんの依頼を受けます。

リサイクルの実際

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RPF
処理場を見学させていただきました。処理場の空いているスペースには、処理を待つビンやペットボトル、缶、古紙、銅線、ホイール、圧縮されたスクラップなどがありました。冬場はまだ少ない方。夏になると、飲料容器が大量に集められます。かつてはビンが多かったのですが、近年は紙、缶、ペットボトルが増えています。飲料容器はまずペットボトル、缶、ビンに分けられ、缶はさらにアルミとスチールに分けられます。

分別は通常シルバー人材センターの方を派遣してやってもらいます。繁忙期の夏は様々な派遣会社から人を集めるそうです。ほとんど全てを人手で分別します。

個人情報が含まれた書類や汚れた容器(たばこの吸殻や砂が混入)などの再利用できないものは、コンベアで運ばれ、大きな機械の中に入っていました。粉煙をあげながら、俵状のかたまりが次々と出てきます。この俵状のかたまりはRPFといいます。再生困難な古紙やプラスチックを加工して燃料としたものです。大手製紙工場で燃料として用いられています。

別の建物には、天井まで届く大きな機械がありました。ペットボトルのキャップとラベルを分別する機械です。シンプルに見えるペットボトルの容器もいくつかの素材でできています。キャップとラベルはポリプロピレン(PP)、本体はポリエチレンテレフタレート(PET)です。ペットボトルのリサイクル過程で、分別のコストと手間がかかっています。

佐彦さんが扱うペットボトルは、コンビニや自動販売機などに置かれているゴミ箱から集められたものと、自治体が家庭から回収したものの両方です。ゴミ箱から集められたものは、キャップやラベルがほとんど残ったままで、非常に大変だと言います。家の中ではしっかり分けても、外に出るとつい怠ってしまうのです。

「はじめから分けてもらえればねえ。この機械はなくても済むんだが。」と松坂さんは機械を見上げておっしゃいました。

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キャップ、ラベル除去の
機械
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キャップやラベルがついたままの
ペットボトル
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フレーク(ペットボトル処理後)

時代の流れの影響を受ける事業

佐彦さんが創業したのは、まだリサイクルという言葉すらなかった大正7年。直志さんの祖父である彦次郎さんが、岩手県から塩釜に出てきて、くず鉄などを集めたのが始まりでした。当時塩釜は、東北地方の陸海物流の結束点で、東京と北海道を中継していました。カメイや、やまやも塩釜で事業を開始したそうです。彦次郎さんとカメイ創業者の亀井文平氏は同郷で、つながりもあったとのことです。彦次郎さんはこの塩釜でリヤカーを引いて古物回収事業を開始しました。くず鉄の他にも、ガラスくず、古紙、商店で使われていたしょうゆ甕なども回収していました。

事業が広がるごとに、船通運も利用し、人手が増えました。遠方の工場などとも取引をするようになると、トラックも導入しました。戦前トラックを持っている人はほとんどいなかったため、大変珍しがられたそうです。松坂さんは、「当時トラックを持っているのは、うちと大企業くらいだったらしい。」と笑いながらおっしゃっていました。

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代表取締役松坂直志さん
太平洋戦争中は大変だった、という話も聞いていたそうです。戦時中スクラップは、軍部によって強制的に徴収されたのです。しかし戦後は、朝鮮特需で金属の需要が高まり、価格も高騰。利益も増えました。その後も高度成長期に鉄資源の需要を支えました。その後一時期はかなり安くなったものの、現在は、投機による物価変動と、中国の急成長による金属需要に大きな影響を受けています。

みちのくEMS

佐彦さんは平成17年にみちのくEMS(みちのく環境管理規格認証)を取得しています。みちのくEMSは構築事業者と評価員・事務局とのパートナーシップで構築・運用するもので、環境に関する継続的な改善をすることで経営基盤の強化を図ることができます。佐彦さんも、経営の勉強となり、また結果としてコストを下げることにもなりました。みちのくEMSは環境を考えるきっかけになるだろうとおっしゃっていました。一方で、ごみの分別に関してはその道のプロだから何の苦労も無かった、という余談もあります。

リサイクルの基本

リサイクルにおいて最もムダが出ないのは、同じものを同じ形で利用することだといいます。例えば一升瓶は、回収ルートに乗れば、洗浄するだけで再利用できます。しかし、破砕してガラス素材として再利用すると、再びビンを作る際に余計なエネルギーが必要です。どちらも「リサイクル」ですが、環境負荷の大きさは違うのです。

photo 実際に巨大な機械が動く現場を見て、分別しないコストについて、まざまざと思い知らされました。廃棄物は集まると大量の資源となりますが、出すひとりひとりの心がけで、リサイクルのコストは変わるはずだと思います。

今回の訪問で、再生資源の価値について学びました。現在はリサイクルの意識も高まり、技術も進展しています。一見使えないような廃棄物も、再利用する可能性が開かれてきています。大正以来事業を続けて来た佐彦さんは時代ごとに新たな事業に挑戦していきました。今後もさらに活躍されるものと思います。(終)

取材メンバー自己紹介
吉良洋輔

吉良洋輔東北大学文学研究科行動科学専攻修士1年
趣味:料理、自転車、プログラミング
取材に対しての抱負:
取材を始める前は、ただ消費者として商品や生産者に対して厳しい視点を持って行動しようと努力していましたが、企業の方々の考えをお聞きしているうちに、供給サイドの事情や考え方にも想像力を働かせることができるようになったと思います。取材を通して、自分自身がより良い選択のできるようになると同時に、自分の感じたことを他人に発信できるようできたらと思います。


高橋良知

高橋良知東北大学文学研究科 中国語学中国文学専攻分野修士1年
趣味:尺八、散策
取材に対しての抱負:
買い物袋の有料化、エコ箸の普及など、私たちの身近なところにエコの取り組みが広がっています。私たちが普段目にすることができないところでも、企業のみなさんは多くの環境対策をされています。今回、実際に地元の企業の方から、環境への取り組みをお聞きする機会に恵まれました。それぞれの企業は、驚くような工夫と努力をされています。企業の方々の貴重なお話と思いを大切に受けとめ、記事を書いていきたいと思います。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社
  25. 第25回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社
  26. 第26回  ニーズを捉えろ! アイリスオーヤマのモノづくり   アイリスオーヤマ株式会社

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