今野敦之×山岡講子 エコ座談会 2月13日(火)午前11時から12時

山岡  本日は、お忙しいところお時間を頂戴し誠にありがとうございます。みやぎグリーン購入ネットワークの副代表幹事として、設立当初からご尽力いただいております。今野社長は宮城県印刷工業組合理事長としてもご活躍され、平成18年秋の藍綬褒章を受章された由にございます。
本日は印刷業界を含め企業の環境についてお話を伺います。よろしくお願いいたします。

今野 よろしくお願いします。今回、私の場合は宮城県印刷組合の理事長として藍綬褒賞をいただきました。長年、印刷業に携わって業界発展のために世話役を務めて、その功績を認めていただきました。
印刷工業組合は活発な組合です。業界の社会的地位の向上だとか、課題解決のために組合活動が活発です。全国レベルで動き、宮城県でも動いている。一人のリーダーが全てを解決するのは難しいものですが、同じ印刷業の全国組織で全日本印刷工業組合連合会というものがあります。構造改善事業の一環として、業界の将来ビジョンや業態変革推進プランを作ったりした歴史があります。第1次から4次までありました。私は、第3次から関わっています。業界計画作りには、自分でも関心があり、普及させていくということは、得意な分野であり必要でした。
宮城県中小企業団体中央会の役員もやっております。社長になってから月日を重ねるに従い、印刷業界が良くならないと当社だってよくならない。業界全体を底上げしてレベルを上げて初めてよくなるということを。また中小企業全体がよくならないと印刷業はよくならないんですよ。それが印刷工業組合の理事長として、中小企業団体中央会の役員を引き受けたきっかけでした。日本の企業の98パーセントは中小企業ですからね。日本の経済を支えているのは、間違いなく中小企業ですが、どうしても国の政策は大企業中心です。中小企業がよくなって初めて我々も良くなると思っています。それを今回、国から認めていただいたのではないでしょうか。

山岡 全国組織で数ある中で、その印刷業組合の功績で藍綬褒章を受章されたことは非常に意義深いものですね。

企業の環境

今野  ちょっと、話しと違うかもしれませんが、最近、防衛庁が防衛省になったように、以前、環境庁が環境省になりましたよね。それを見ても、いかに環境が重要視されているかわかると思います。環境に対する国民の関心や企業の関心はかなり高まったと思います。
我々もそういうことがなければ、環境ISO14001を取らなかったし、グリーン購入なんて解らなかったと思います。環境に配慮しないと企業活動はできなくなると思いました。しかし、環境と一口でいってもコストがかかります。当社は、環境ISO14001を取りましたけれど、更新審査に何十万とお金がかかるので、業績が上がっていなければ、それどころじゃない、というのは解る気がします。
それから、グリーン購入に関して言えば、やはりグリーン購入対応の製品はまだ割高感がありますね。だから、国がそういう政策をしているのはわかるけれど、まだそこまでいかない、という企業が多いのではないでしょうか?
現在の中小企業の7割が赤字決算ですよ。そうすると、コストがかかる環境とか、グリーン購入などやれないんですよ。

山岡  そんなに赤字の企業が多いのですか?驚きですね。
マネジメントシステムができていないところに問題があったりするのではないでしょか?売り上げを伸ばすのは大変だけれど、経費を抑え無理無駄を省くマネジメントができているところは、それなりに売り上げも当然伸びているし、社長の指示もきちんといきわたっているところです。マネジメントシステムができている会社は確実に成績を伸ばしていますね。

今野  それは、おっしゃるとおりです。ISOにしてもグリーン購入にしてもマネジメントシステムです。わが社も会社経営のマネジメントシステムの一つとして取り入れていますので、それができるというのは自分の会社のマネジメントもきちんとやっているということです。会社のマネジメントもできないのに環境ISOなんて導入できないですよ。環境ISO、品質のISO、プライバシーマークをとってきましたが、会社の社員の環境に関する考え方、品質に関する考え方、個人情報に関する考え方を変えたくてマネジメントシステムを導入したわけです。

山岡  社員の方々は、取組むことによって変わられましたか。

今野  はい、変わりました。最初に取組んだのは品質ISOです。品質に関する考え方は以前よりだいぶ変わりました。色々問題もあります。大きな会社、例えばトヨタ自動車は、独自の品質基準を持っています。しかし、私ども中小企業はもっていません。取得するプロセスには人的、金銭的なコストは掛かりますが、それなりの効果はあります。

山岡 効果としては、いかがでしたか?

今野  新入社員に聞くと入社して一番びっくりしたことのひとつにこの会社はこんなに一生懸命環境のことに取り組んでいるんだということがあがってきます。

山岡  環境意識が社員にひろまるということですね。地球環境の今問題になっている課題に、解決策の一つとして大いに役立っていますね。具体的に「チームマイナス6℃」等Co2削減にも。売上げに直接結びつかなくても、地球環境問題解決のために、ものすごく還元していることになりますよね。

今野  はい、そうですね。CO2の温暖化の問題がでてきましたが、そういうことに対しても当社の社員は、感度がいいと思います。

山岡  中小企業が7割赤字であっても、売り上げが上げられないということも含めて、会社のマネジメントシステムを構築させることは、社員啓発、社員教育につながることということですね。

マネジメントシステムを一本化した

今野  それが徹底するまでは難しいこともありました。わが社では、現在は会社の経営方針と、環境と品質と個人情報保護方針を一体化させました。わが社の経営の中に取り入れた全体のマネジメントシステムとして一体化しました。

山岡 創意工夫をされたわけですね。

今野 始めたころは、3ヶ年計画、今年度の方針、その他に環境ISO、品質ISO、全部別々にあり大変でしたね。

今野彩子 人的にも、時間的にも多くを費やしたところがありました。一体化したことで、仕事とこれらの取り組みは別物ではない、という理解が進んだと思います。

山岡 よい情報をお伝えして、いいことはどんどん取組んでもらいたいと考えますけれどね。企業秘密でしょうか?

今野 そんなことはないです。環境方針、品質方針、個人情報保護方針は外部に公開しているわけですから。
ここにマネジメント方針(パネルを指して)がありますが、前は別々のパネルでした。完璧ではありませんが。

山岡  ここに至るまでは、仕事が優先なのか、こちらが優先なのか大変なことがおありだったと思います。社会貢献でもあるし、自分の企業として確立されていけば、社員や新入社員の育成にしても一環したことができるということになりますよね。伸びている会社というのは、そういうところに惜しみなく投入するからこそ、別な意味で収益が上がるし、地球環境に還元していると素晴らしい取り組みですね。

今野  おっしゃる通りですね。

山岡  仙台クリエーティブ・クラスター・コンソーシアム(製品デザインや映像など知的創造産業とIT産業の連携を通じて、付加価値の高いビジネスモデルの創出を目指す共同事業体)が設立されて、そこの会長もお引き受になったようですが、具体的にどんな事をされるのでしょうか。私どもは全国のネットワークの交流会で情報交換しますが、ちょっと寂しい思いをしています。何かというと、宮城県独自の産業が育っていない、宮城県の企業がどれくらいあるか、一部上場の企業がどれくらいあるか、風土的に気候に恵まれ災害もあまり無い、食材も沢山あり、恵まれた環境にありすぎ逼迫感が無く緊張感がないからでしょうか?本当に少ないですよね。そのあたりで創造産業を目指して、ということなんでしょうか?

仙台クリエーティブ・クラスター・コンソーシアム

今野  私は、商工会議所の工業部会長をしていますが、先日、米沢市の工業先進クラスター地域に行きました。米沢の有名な工場を見てきました。米沢商工会議所の話を聞いて愕然としたのは、米沢市の工業出荷額が大まかな数字で、7400億円、仙台市の工業出荷額もほぼ同じ、7400億円。米沢の人口9万人、仙台は100万都市ですよ。米沢市の商業、サービス業は2000億、仙台市は1兆8000億。人口比率から考えると情けないわけですよ。工業ももっと頑張りましょう。だから村井知事も冨県戦略を目指しているわけですよ。工業ばかりではないけれど、どうしたらいいか考えましょうと。
ものづくりの現場では、他の地域と比べて寂しいものがある。そこをなんとかしたい。ということで、その一環としてイコールではないけれど、今度の「仙台クリエーティブ・クラスター・コンソーシアム」ができたんです。ハードではなくどちらかというとソフトですね。映像であったり、デザインであったり、それから放送、テレビラジオであったり、ITを絡ませて、どちらかというとコンテンツ系のソフトをもう少し集約しましょうよ、コラボレーションしていい産業が出ることを望んでいるわけです。

山岡  ソフトの面が育っていけば、それに合わせて当然ソフトだけでは作り出すことはできないので、ハードの面もという狙いがあるのですね。ソフトがなぜ弱いのでしょうか、宮城県は。

今野  私は弱いとは思っていないけれど、もうちょっと強化すれば、他県よりは強くなるかなという感じですね
印刷というのは、どちらかというと都市型産業なんです。だから仙台は印刷の集積率が高いんですよ。ですが、ソフトの部分になると、まだまだ、弱いというより、同じなんです、秀でていないんです。

山岡  そこに芸術性があったりとか、文化性があったりとかソフトの人材を育成していこうということですね。

今野  管轄する役所があるわけです。昔は通産局「紙業・印刷業課」、2001年の省庁再編で、経済産業局になり「文化情報関連産業課」になって、「印刷」という文字がなくなったんです。印刷も文化も情報も同じ課でくくっていますよ、国はそういう施策をしていきますよ、という意思表示なんです。だから、クリエーティブ・クラスターはまさしく国の方針にのっとっているというのは、間違いじゃない。

山岡  なるほど。印刷も含めたところで、ビジュアルに訴える技術の先端を担っていると捉えていいでしょうか。

今野  はい、そうですね。そういう方向に向かって進めています。

山岡  やはり、そういうところが差別化というか、現実パソコンは目覚しく発達をしている。自分たちでデザインして、チラシも作れるし、プリンターもいいものができています。しかしそれ以上勝るものを作ってもらうと太刀打ちできないですよね。そういう人たちの育成ですよね。

今野  全部自分のところで原稿を作ってプリントアウトして使っていますね。一億総印刷屋と言われていますから。だけれども、先ほどいったように我々にしか出来ないソフトとか技能とか、そういったものを持っているわけですよ。素人の人にはできない、プロとしての印刷業の部分を我々は担うということですね。

山岡  共通して言えることでしょうね。パソコンの普及情報が氾濫している中で、本物を伝えていくというか、あり方が重要視されることなんでしょうね。社長の経営方針の中で、プロ集団としてのあり方姿勢なのですね。

今野 印刷業界の技術革新についてですが、印刷業界はデジタル化がものすごく進みました。15年ぐらい前から。これだけコンピューター社会になってね、オフィスに全部パソコンが入って、家庭にだってあるんですから。当然我々のところもデジタル化が進むわけですよ。今までは、技能や技術で差別化ができたけれどそれができなくなった。デジタル化したためにプロの水準が上がった。

山岡  素人ではできない、感性であるとか芸術的なものであるとか、デザイン性のものですね。それから言葉が非常に氾濫しているなかで、印刷の場合、文字で表していくとき、長ったらしい文章でなくてキャッチコピーで中身を分からせていくというのは、これはプロの技ですよね。そういった人たちの育成っていうのは、ものすごく大事ですよね。

今野  そうですね。それは、人材育成が大事だということです。今度のクリエーティブ・クラスターというのは、人材育成が大きなポイントなんですね。やるっていっても人が育って来ないとやれないですから、人材育成のためのセミナーとかどんどん立ち上がっていきますね。 産学官連携の学の方では東北芸術工科大学の大学院、東北工業大学も参画されるようですね。

山岡  宮城県には名高い東北大学工学部がありながらも、中小企業はあまり活用していないようです。文系、芸術の分野が少なく、寂しいですよね。

今野  産学官連携とよくいいますが、全部ものづくりなんですよ。ものづくりの分野での産学連携なんです。工業部会長として世界に冠たる東北大学のニッチェなどにもいきました。しかし、最近は技術ではなくてむしろ加工技術なので、産学連携といってもなかなか上手く取り込めなかったんです。一方では、できれば文系分野の産学連携にしてくれませんかと言っていました。例えば、マーケティングの勉強したいんだ、と言っても、そういうのが無かった。ところが、去年東北大学大学院経済学研究科に地域イノベーション研究センターができ、大滝先生などが中心に産学官の連携ができるようになりました。印刷企業もリニューアルが必要だと思っています。それは理系ではなく、完全に文系なんです。

山岡  戦略が下手なのかな。発信させる人たちを育成することにより宮城県がもっと世の中に知られていくことになりますよね。

今野 宮城県はやはり外部に対しての広報が得意ではないと言われています。すべて予算なので、思うようにいかないけれど、よその県を見ると上手なところがたくさんありますよね。

グリーン入札

山岡  仙台クリエーティブ・クラスター・コンソーシアムが設立されて人材育成も含めて揃っていくと情報発信が出来広報上手になりますね。やはり情報として発信できるものがないと進みませんよね。
私たちも、みやぎグリーン購入ネットワークの事務局を担っておりますが、地域ネットの連携で地域人たちの情報が得られます。滋賀県が先進的で、県全体が先進的に取組んでいます。入札の条件にグリーン購入の入会とかEMSの取組みなどを挙げていますので、いいところは取り入れていこうと思っています。
設立当初は90、それから3年たって170になりました。最初の段階から、社長には副代表幹事として色々な場面でお話をしていただいておりますが、会員数が多く伸びない、というのはどこに問題があるのかと。比較してみるとグリーン入札がなかったりが、原因しているのではないかという方もいらっしゃいますが、滋賀県では完全に徹底しているんですね。そのあたりの情報を得たとき社長は、どうお感じになりましたか。

今野  できてから3年、会員が170ですね。私はとても少ないと思います。宮城県の市町村は36あるのに、19しか入っていませんよね。100パーセントとはいわないけれど、少ないですよね。18年には、宮城県はグリーン購入促進条例を全国で初めて出して、推進委員会があり、秋にはグリーン購入の推進方針を作ると言っていますから、やはり県がもっと働きかけるべきですよね。知事にもう一回見直してもらわないと駄目だと思います。滋賀県の例もありますよね。特に環境行政は、県と密接な連携がないとできない。さらに、グリーン購入に関するマニュアル作成をすると県では発表しています。
今度、宮城県では「ものづくり条例」ができるそうです。いろいろ意見を述べてきました。こんど3月議会でできるでしょう。県のグリーン購入促進条例があると、猪股代表との対談でも知事はおっしゃっていますから、入札条件に入れて欲しい。グリーン購入を入札条件にすればみんな、グリーン購入が大事なんだ、と思うわけですよ。グリーン製品を使って製造、販売しなければ県には納められない、となれば、一気に進みますよ。そうあって欲しいですね。
入札条件にしようとすることは、お金がかかるわけじゃないですからね。
滋賀県ではグリーン入札を実施していますね。

山岡  はい、そうですね。グリーン入札が始まる事を願います。

今野  できれば、県が条例を作ったのだから、県と市町村は別々ですけれど、理想として全市町村は我々ネットワークに全部入っていただきたい。宮城県の企業の80パーセントはGPNの会員になるといいですね。

山岡 何社になるんでしょう!? そんなに入会したら逆に事務局はパンクしちゃいますね(笑)

今野  それくらいにならないと、グリーン購入は定着しませんよ。それから、先ほどもグリーン購入製品はやっぱり割高感があると言いましけれど、他の製品と同じくらいの値段で買えて、買うほうも売るほうも抵抗が無く、これだったら、環境にやさしいグリーン製品の方がいいね、となるのが理想ですね。そこまでなるには、コストがかかるので、会員を増やして、全市町村が加入する。そこまで行けばいいですよ。印刷業なので紙のことについて説明すると、最初の頃リサイクル製品を使いましょうと言ってましたがリサイクル製品は高かったんですよ。ところが、今は同じ値段になりました。バージンパルプで作った紙と同じ値段にしているんです。というのはリサイクルペーパーの需要がぐんと伸びたので、コスト的に合うようになりました。買う人に環境にやさしい製品は割高だと思わせない。そこまでしないと上手くいかないと思います。

山岡 はい、わかりました。
本日はどうもありがとうございました。

終了

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