菊地和男×山岡講子 エコ座談会

■今回は、新緑が美しい定禅寺通りに面した場所に店舗を構える株式会社キクチの代表取締役社長キクチ和男様にご出演いただきました。

山岡  本日はどうぞよろしくお願いいたします。菊地社長は、仙台文具事務用品組合の組合長や、みやぎグリーン購入ネットワークの幹事も努めていただいておりますので、文具業界とグリーン購入についてお話を伺いたいと思います。

防災ネットワークの普及支援システムの構築

菊地 はい、よろしくお願いいたします。私ども仙台文具事務用品組合は、仙台市消防条例で住宅用火災警報器設置が義務化されたのを受けて消防局へ講師派遣を要請しました。マックス(株)と(株)仙台山三の協力をもらいながら、販売店30社で講習を開催し、住宅用火災警報器販売店として仙台市消防局に販売店登録をしました。その後、仙台市内が都市ガス警報機の普及が遅れていることを知り、宮城県沖地震が30年以内に99%という高い確率で起こることが予想されているだけに、ガス漏れ・熱感知・COガス検知の3機能型都市ガス警報機を設置することで、より充実した防災ネットワークが構築できないかという構想を組合で検討しました。

ガス局では都市ガス警報器を、私達は火災警報器を販売しているので連携してやりましょうと、ネットワークを提案しました。ガス局の都市ガス警報器があまり普及していないこともあり、自治体との連携だけに、問題が起きないように慎重に、システムを作りました。

目的は、防災ネットワークの普及支援システムの構築です。地方自治体と販売店は購入側と販売側という公と民間の一線がありますが、「地域を守るには、どのようにすればよいか」という視点に立ってみればお互いに何が出来るかという協調が可能になります。今回の連携はその一例といえます。

私たちが利益だけを優先すると都市ガス警報器が全然普及しなくなるので、煙感知器を私達が販売し、台所にはガス局のガス警報器を紹介する販売方法を取りました。消防局には消防局とガス局とが連携し、台所には都市ガス警報器を設置し、寝室には煙感知器を入れてより安全な住居にするというテーマを打ち出していただけないものか持ちかけましたが、それはできないと。(笑)

山岡 未然に災害を防ぐということは、絶対必要なことですね。火災、災害がおきて大変な費用をかけるよりは、防災の仕組みがきちっとしていれば、未然に防げることがたくさんありますよね。これは環境問題と同じですね。

菊地  防災も環境問題の一部と考えられますが、自治体と自治体、自治体と民間、それぞれの垣根をとることは難しいです。

山岡  それを超えないと、住みやすい街とか安心安全な街とか、環境にいい街というのが繋がって行かないんですよね。防災ネットワークは素晴らしいことです。「あなたが火災を起こしたときにどれくらいの損失になるか」と考えたとき、防災は大事なことですね。

菊地  ライフサイクルマネジメント経営の立場から、施設を長持ちさせて使うことで建物維持のコストダウンをはかることも省資源化ということになります。グリーン購入の推進を進めながら、防災というテーマをもう一つの切り口と考えました。
災害等のリスクマネジメントですが、建物が壊れたらたくさんの損失がでますね。処分しなければならないゴミが多数出るので、CO2発生の状況も考慮しておかなくてはならない。決して環境と離れたことではないのです。人身事故に関わる火災やガス爆発による近所への迷惑、発生場所の土地建物の資産価値の減少など色々な問題が発生します。このような思惑から、都市ガス警報器の普及率が低い仙台で、組合として出来ることは何かないかと検討した結果が、支援・連携という方式でした。

山岡  都市ガス警報器が普及しないのは広報が悪いんでしょうか?

菊地  仙台市ガス局としても都市ガス利用者に警報器を強制できない。利用者としても他の都市に較べて仙台は民家の密集していないめぐまれた環境なので問題意識が高まらないという点が何よりの問題なのです。

山岡 仙台市ガス局は独立採算ですが、それぞれの自治体が企業的意識を持って、行政の垣根を臨機応変にはずしながら、何が今必要なのかを真摯に柔軟に取り組まないと単独の独立採算はむずかしということですね。

環境マネジメント「みちのくEMS」

菊地  人材・経費の面からISO14001を取得できない企業に対しては自治体と連携した環境マネジメントシステムの導入を進めることが大切と考えます。苦労して出来上がった「みちのくEMS」の普及についても、行政のそれぞれの窓口にギャップがありますね。

山岡  部局間の問題ですね。連携を上手くして垣根を取り払って欲しいですね。

菊地  仙台市には「みちのくEMS」という独自の環境マネジメントシステムが出来上がっており、NPOの環境会議所東北で取得認可の運営がなされていますね。しかし、今年の仙台市の競争入札登録申請で、ISOの取得の項目はあっても、みちのくEMSを取得しているかの項目は無いんです。まだISO優先なんですね。自治体への納入業者は「みちのくEMS」を取得しなくとも取引に影響しないとなると取得に積極性欠け、なかなか普及しなくなります。取得することが条件となれば、必死になって企業は取るわけですよ。それくらいのことを後押ししてほしいですね。

山岡  はい、そうですね。それは時間がかかっていますが進むと思います。第三者が関わり、評価するという素晴らしい仕組みです。

菊地  防災一つにしても、自治体部門によって考え方がまちまちなんですよね。いつも壁にぶつかります。地方自治体として部門を越えた、上から見た問題可決のベストセレクションができないのかと。

山岡 今の時代、情報が瞬時にして得られるわけですから、少ししっかりした情報を各部署で把握して縦割りの壁をぶち破るくらいの勇気がないとダメですね。

菊地 問題が起きたときに、トップの権限で書類がすみやかに流れないと解決が遅れてしまう。トップダウンのスピードとボトムアップのスピードが同じ流れであって欲しい。山積みされた書類と共に解決が遅れてしまう点が問題です。

山岡 担当になった人がやるかやらないかですね。宮城県でグリーン条例が全国で初めて施行されました。先進的な取組や、他県の取組を知ることはお互い刺激になって良いことなので、先日、宮城県の環境部長に滋賀県のグリーン入札の資料をお届けしました。また、今秋は、グリーン購入の全国フォーラムを宮城県で開催することとなりました。他県から大勢のお客様がいらっしゃるので、知事と仙台市長にはぜひ出席して欲しいですね。

グリーン文具とキャラクター文具

菊地 仙台市がグリーン文具を推奨してくれているのは非常に有難い。しかしながら、新入生の保護者にこういう文具を使ってくださいと説明をしてくれるのですが中々浸透しないのが現状です。仙台文具事務用品組合の組合長と宮城県文具事務用品の会長という販売店に提案しやすい立場にありますが、3月、4月でグリーン文具普及の問題にぶつかります。「店頭ではぜひグリーン文具を勧めてください。」と言うのですが中々売れません。
私の会社では2月中旬、3日間学童フェアをやります。意識的にグリーン文具を並べて、お母さん方に購入してもらおうとするのですが、グリーン文具は3日間の売り上げの1%ぐらいです。

山岡  そんなものなんですか!

菊地  はい、現実は浸透するのに厳しいものがあります。止む得ず、子供の目を引くキャラクター文具を並べます。子供はキャラクター文具を選びますからね。メーカーがキャラクター文具を作るとき、再生材を使ってくれれば何の問題もないのですが、文具では、最初から役所向けのエコを目指した納品用の事務用品と、子供達が使うキャラクター優先のエコ対応でないものと分けられます。ファンシーメーカーは、製作コストか印刷仕上がりが悪いとかの問題が出てくるのか、再生材を使わないんですね。わざわざそういう手間をかけて商品を作らなくても、という考えがあるのかもしれませんね。

でも、中には子供にキャラクター文具を見せないで親だけが買いに来て、親の判断で選んでいくという方もいます。子供にキャラクターを見せてしまうとキャラクターを選んでしまうので、お母さんがグリーン文具を買われていく。そこまで徹底されると感心します。グリーン文具の普及も秋口のうちに新児童になられる各家庭に早めに学校側からアピールがあればもっと普及すると思うのです。お祖父ちゃんお婆ちゃん達が孫の喜ぶキャラクター文具を買ってしまった後に学校の説明会ではタイミングが悪いんですね。だから説明会の開催をより徹底するためには説明時期は大事な要素なんです。

山岡  就学前の準備は、10月、11月の段階なんでしょうね。

菊地  幼稚園、保育所の卒園前に保護者を呼んで、教育委員会から環境に配慮した文具を与えてくださいと話してもらいたいです。環境に関するイベントをして子供達と一緒にお母さん達にも聞いて理解していただいて、子供達が使うものはこういうのがいいのだとなれば理想です。ただ、子供達にキャラクターものの現物を見せてしまうとそうはいかないのが現実です。

山岡  ある行政から、幼稚園、保育所のお母さん達を対象に環境学習を実施してもらえないかという話がきています。それは必要なことだなあ、と思っています。自治体の方達と話をすると、環境教育法が施行されて小中学生を対象にした環境教育は実施されているようですが、低年齢での教育は必要だなあと思いますね。

菊地  今年は早めに教育委員会と折衝して、グリーン文具をアピールしようと考えています。 大半の事務用品はグリーン商品になっていますが、新しく出される文具は、エコマークを取得するのにお金がかかるし時間がかかるので、取得を待っているうちに他社に遅れを取り売り逃してしまいます。単発の商品ではエコを全く無視していかないと他のメーカーに負けてしまう。キャラクター文具がエコを取らない理由はここにあります。

山岡  問題がはっきりしているけれど、どんな方法で導き出したらいいのかが課題ですね。

グリーン購入は企業を変える

菊地  はい、大きな課題です。我々の段階ではまだ出来ないですが、これをやる方法はあります。全国文具組合でメーカーに対して教育上の部材はこういう形で出してくれとか、今後、新製品商材は再生材を使ってくれと明確に打ち出して、メーカーが止むを得ないな、これだけ圧力が強いなら最初から再生材を使っていこうと対応してくれれば解決できると思います。
消費者の意識が高まり、どういう素材で作られているのか、厳しい目を持ち始めると、メーカーも環境材を使っている方がいいだろう、製造企業としてもそういう方向が正しいのかもしれないと方向修正してくれれば、再生材の商品が出てくるでしょう。

パスケースにしても、今は、両方作っているんですね。環境材のものと従来のものでは、20対1の割合で従来のものが売れます。環境材はくすんだり、圧縮をかけると白く濁ったりするので、飲食店ではメニューを入れるのにきれいに見えなくてはいけないということで環境対応でない従来の透明度の高い方を買っていくんですね。

山岡  使う側の目的によって違ってくるので仕方がないですが、生産者側がラインを別にするということは、それだけコストがかかるわけですよね。

菊地  それで、再生材でもっと透明度の高いものを作る研究をどんどん進めてもらって、商品が一本化されれば何も問題が起きないわけです。そういうことも含めてアピールしていきたいです。お任せしていてはダメなので、販売する側でそういう要望を出すことに力を注いでいきたいですね。

山岡  グリーン購入の消費行動は、企業を変える、商品を変えるという、うねりを巻き起こしたいですね。

菊地  実際そうなるでしょう。買うことは些細な行為だけど、作る側と使う側の環境に対する意識の目が一致すると、ある日突然、世の中はガラッと大きく変わっていくのではないかと思いますね。

山岡  事務局は普及啓発であちこちお伺いしていますが、最近は、「どこで売ってるんですか、おらほの町では売ってないよ」と尋ねられます。トイレットペーパーでも、こういうのを選んだらいいですよね、というと「うーん、でも買うのは嫁だからね、嫁に言わないといけないね」という答えが返ってきますが、身近に感じるのは子供の教育に対してどう伝えていくかですね。

菊地  文具を納めている取引先がISOを取得すると、購入判断レベルが上がって「お宅からは買わない」となってくる。お宅から買わなくてもリストは絞りこんで決まっているので、後はいかにして安く買うかだけ、というふうに走ってしまうんですね。最後に突然そうなるのがISOを取得した会社に多いです。社内の今後の業務管理、効率化はそれでいいのか、より良い業務を行うための提案する窓口を閉じては仕事場の環境が逆に悪くなるのでは、と懸念しております。ISO取得だけが企業の目的になってしまい、目先重視型になりがちです。

山岡  環境マネジメントシステムを導入し、グリーン行動をすることは、自分の首を絞めるのではなくて、物品を買う場合も環境に配慮した商品を買うことにありますが、違ってきているんでしょうか?

菊地  企業によっては取り違いもあるわけです。環境という視点だけでいくと全体のマネジメントから離れていく場合がありますね。全体のバランスをどう把握するかがマネジメントですね。

山岡  縦割りの無駄なところがあって、一つのことが周知徹底されないことがあり過ぎるってことですね。販売する側の壁と消費者のニーズに答える一方、企業として成り立つためには、これは環境商品ではないけれど売らなきゃならない、というのに悩むところでしょうか。企業としての存続を図るには売り上げを伸ばすこと、両立させるためには、作る側との連携、消費者に対する意識や行動を変えるってことでしょうか。

菊地  販売を通してどう関わっていくかですね。

山岡  グリーン購入というと、まず文具という捉え方をしますが、視点を置き換えてグリーン購入=文具だけではないので、もう少し分野を広げていかなくてはいけないな、と考えています。

安価な替え芯、詰め替えは必要か?

菊地 役所の窓口で購入する文具は、捨てるとき分離できるものとか、再生材を使っているものとか100%グリーン文具になりましたね。しかし。今使っているものは全部、環境材であるからと、逆にそこで安心している場合があります。もう完璧じゃないか、と。でも、蛍光ペンなど素材が環境材であり、詰め替えができるという購入条件がつけられますが、中芯の購入状況は伸びていきません。メーカーも条件を色々と出されので、慌てて替え芯対応の商品を作るのですが、これがほとんど売れないんですよ。それならば、替え芯は交換できなくてはならない、という条件は必要無いのではないか、要は再生材でできていればいいのではないか、と。

山岡  値段が張るものだったら詰め替えもいいですが、単価が100円程度で買えるものまで替え芯が必要なのか、物を作る側としてはコストがかかりますから、逆にどうなのか、と疑問に思うところですよね。

菊地  販売する方も、替え芯を置くスペースがいります。しかし、これが売れない。

山岡  これは、売る側の考えも提案していかないと。安いからいいってことではなく、物によりますね。消費者の方から「このスティックのりはどこが環境にいいんですか」と質問されました。「再生材で作られて詰め替えができます」と答えていますが、実際、詰め替えするまで使わないですよね。その前に固まってしまったり(笑)。神経質になりすぎているんじゃないでしょうか。

菊地  今は、テープのりが出回っていますが、メーカー間競合の中でこの詰め替え商品の種類がどんどん増えて、前のカートリッジが使えなくなってしまうんですね。(笑) そこで消費者が、カートリッジ使うのは面倒だから、使い捨ての商品を使うか、となるんですね。

山岡  あんまり神経質になって開発するよりは、文具類は大量消費するものでもないので、使い勝手がいいように、環境をキーワードに見直したらいいですよね。
本日は、防災から文具業界とあらゆる環境についてお話をいただき、ありがとうございました。

終了

「17条の憲法和のアート」 <行政改革ここにあり>

■菊地さんは、「17条の憲法和のアート」を企画制作されました。これは、憲法改正が目前にあるため、日本の将来を考え、聖徳太子が作った17条の憲法の原文を見ながら自分なりに解釈をすすめ、それをベースに憲法改正を行ってほしい、と「17条の憲法和のアート」を行政や、国に提案されたそうです。


菊地  日本の和の理念は、建国以来「和を以って貴しとなし」にありますように、聖徳太子17条憲法の和の理念が反映されています。聖徳太子が憲法を起こした基本哲理は「白鹿の文」のくだりの解釈にあります。その文字のもつ意味合いを一つ一つ解釈しまとめたものを、宮城県の才能ある書家の星淑子さんに書として表現してもらいました。星さんの表現される文字の精神性は群を抜いております。文字で表現したというよりも、日本古来のアートに置き換えたと理解していただければありがたいです。日本古来の「和の理念」と「日本文化の書」をアートに置き換えられ全体が一つの作品となっています。 日本的な精神文化である『和』とは何か。これからの日本にとって一番大切なものは何か、日本の国柄として、政治経済のあり方は、行政のあり方は、われわれ企業のあり方は何か、それぞれが自らの役割を果たす中でいつも一つの理念の中にこの和があります。『和の自覚』がこれからの日本という環境を大きく変えるものと期待しております。

>>PDFでご紹介いたしますので、どうぞご覧ください。

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