奥山恵美子 仙台市長×猪股宏 みやぎグリーン購入ネットワーク代表幹事(東北大学大学院工学研究科教授)

山岡
みやぎグリーン購入ネットワーク事務局長を務めております山岡と申します。本日はお忙しいところありがとうございます。仙台市は、長年、全国のグリーン購入ネットワークの理事、そしてみやぎグリーン購入ネットワークでは幹事を務めていただいています。ご協力に感謝申し上げます。
本日は、仙台市長とみやぎグリーン購入ネットワークの猪股代表幹事との対談ということで進めさせていただきますのでよろしくお願いします。
猪股
みやぎグリーン購入ネットワーク代表幹事の猪股です。本日はお忙しいところありがとうございます。仙台市は、平成16年10月に第7回グリーン購入大賞を受賞されていますが、その後、大きく変わったことはありますか。また、現在、どのような取り組みをされていますか。
仙台市の取り組み
市長
座談会写真特に大きく変わったということはないと思いますが、グリーン購入自体、私どもの仙台市が大賞をいただいた時期と、今とでは、社会的に少し変わってきているのかな、と思います。以前は、資源の循環という問題の解決の手法という意味合いが強かったと思いますが、現在、CO2削減のための低炭素社会という言葉がよく使われていますように、世界的には、地球温暖化対策が最大の課題であり、グリーン購入もその解決のための手法のひとつであると認識されていると思います。本市でもそのような観点から、取り組みを進めているところです。
本市は、平成16年にグリーン購入世界会議を開催するなど、自治体としては早い時期から取り組んでいました。 また、仙台市自身が、事業者としてグリーン購入を推進することは、本市の要綱などで各部局にしっかり義務付けられていて、毎年ほぼ100%の調達を達成しています。グリーン購入は、仙台市の組織の中では着実に根付いてきています。
本市の自治体としてのグリーン購入の体制づくりやその成果等については、国際会議やセミナー、市政出前講座などにおいて情報提供をしています。また、本市がグリーン購入で調達した省エネタイプの事務機器を始めとする様々なグリーン商品が、本市の業務に伴う二酸化炭素削減及び経費節減に貢献しています。
あとは、どのようにして市民・事業者の皆さんに広げていくか。グリーン購入はまず紙だという意識が強かったように思いますので、事業者の方々にもそのようなところから理解が進んできているようです。やはり、最近は、国が実施しているエコポイントの効果で、エコな電気製品がグリーン購入の対象として、認識が広がってきているのかな、と感じています。自動車であれば、ハイブリッドカーを購入することがそうですね。
座談会写真本市では、今後、太陽光発電設備やハイブリッドカーなどのエコカーの導入を拡大していくとともに、LED照明をはじめ、様々な省エネ機器の導入を進めていく予定です。例えば、新たにつくる(仮称)宮城野区文化センターには太陽光発電設備を設置します。また、4月にリニューアル開館する仙台市博物館では、展示用照明にLEDを採用します。価格は高いのですが、10年間のランニングコストは改装前より54%減ると試算されていますし、文化財を劣化させる紫外線などが蛍光灯より少ないというメリットもあります。
おそらく今、LEDや電球形蛍光灯などの省エネにつながる購入というものに市民の皆さんの関心が向いているのだと思います。メッセージ性を持ったものを行政が購入することが新聞などで取り上げられる際や、また、これらのことを、地域の中や社会でお話をさせていただくとき、「ああ、なるほどそのように変わってきているのか」と市民・事業者の皆さまに認識されていくことになります。
猪股
LED照明はまだ高めですが、行政が率先して多く買うことにより、大量生産ができるようになり、価格が下がるという効果がありますね。
市長
そうですね。そういった効果も期待できますね。街灯なども各自治体でLEDを使っていくと全国でかなりの数になり、コストも下がっていくことになりますね。
第1回グリーン購入世界会議〜国際的な取り組み
猪股
座談会写真平成16年10月「第1回グリーン購入世界会議」が仙台で開催されました。この会議で採択された「グリーン購入仙台宣言」がきっかけとなり、国際グリーン購入ネットワークが設立されました。日本に事務局があり、韓国、中国、インド、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、台湾、香港の10カ国が加盟していますが、仙台市はその中心的な存在です。世界会議を開催してから5年が経ちますが、環境面での国際的な取り組みはどのように行っていますか。
市長
地球規模の環境問題を解決していくためには、国際的な自治体間の連携や情報交換が有効であると思います。本市は、第2回グリーン購入世界会議(スペイン・バルセロナ市・H18)や第3回会議(韓国・スウォン市・H21)においても、第1回会議開催都市として、取り組みを発表しました。スウォン会議では、アジア各地から低炭素社会の構築に向けたグリーン購入の取り組みの発表が多かったようですね。
また、日中韓3か国地方政府交流シンポジウム(長春市・H21)でも本市の取り組みを発表し、環境と経済の好循環に向けたグリーン購入の重要性を強調しました。
以上のような国際会議では、グリーン購入の先駆的な取り組みとも言える「脱スパイクタイヤ運動」や本市独自の環境マネジメントシステムの運用による二酸化炭素削減効果などに関心が寄せられることが多いですね。
それから、毎年度、仙台国際センターで行われる「せんだい地球フェスタ」に参加していまして、今年度はパネル展示と環境クイズを行い、多くの留学生や市民へ「マイはし」などの啓発グッズのプレゼントもしました。
グリーン購入・環境配慮実践事業者に対するインセンティブ
猪股
グリーン購入は、エコを考える一つのボタンだと思っています。トータルでの環境推進、つまりエコロジー、そしてエコノミーを推進してもらいたいものです。
さて、平成16年にみやぎグリーン購入ネットワーク(みやぎGPN)も誕生しました。ネットワークを拡大していく方策についてはどのようにお考えですか。また、グリーン購入に取り組んでいる事業者にインセンティブがあると、事業者のグリーン購入の取り組みに弾みがつくのではないかと思いますが、どのようにお考えですか。
市長
座談会写真NPOと企業、そして自治体で構成される「みやぎGPN」は、本市が目指す協働のかたちの一つです。グリーン購入ネットワーク(GPN)が宮城だけでなく、東北各地にも組織され、東北全体でネットワーク化していけば、ゆくゆくは製品調達から販売まで、仙台、宮城、そして東北全体で地産地消が可能となる取り組みも実現するかもしれません。経済と環境の好循環が実現する社会を目指して、これからも連携して取組みを進めていくことをお願いしたいです。
インセンティブについては、仙台市が何かの施策を推進したいというときに、入札などで、その推進したい施策について頑張っておられる事業者の方を優先して仕事を出しますよ、というのがいくつかあります。例えば障がいを持った方の雇用であるとかですが、環境もその中の一つの要素として入っております。ただ、グリーン購入だけに着目したものというよりは、全体に環境に取り組むいくつかの要素があり、例えば、ISO14001やみちのくEMSの認証を取得している場合は、入札の時に総合的な加点の中でポイントが上にあがりますよ、というような形になっています。このようなことが公平で目標が見えやすいものではないかと思います。
猪股
地域版の環境マネジメントシステムであるみちのくEMSの認証が110件を超えていますね。仙台市では、この認証の取得について助成を行っていますが、今後も続けられるのですか。
市長
はい、その予定です。
猪股
問い合わせなどは多いですか。
市長
はい、今年度は、みちのくEMS認証取得への補助申請が、予算が足りなくなるくらい多いと聞いています。
猪股
というと、事業者の方もそういう意識が高くなったということでしょうか。
市長
そういうところに意識がいく背景ができてきたんですね。
市民への啓発〜CO2CO2“コツコツ”減らしていいもの当てようキャンペーン
猪股
グリーン購入は、環境に配慮した市民行動として、一番取り組みやすいものです。政府が掲げているCO2排出量の25%削減に向けて、生活者である市民の理解、実践がなければ達成できません。市民の皆さんに今後どのように啓発していく予定ですか。
市長
毎日の生活に欠かせない消耗品のグリーン購入はもとより、エコカー購入やエコ住宅など、購入時の価格は高めでも、維持経費が少なく、長い目で見ればお得になるライフサイクルコストという観点からのグリーン購入についても、市民の皆さんの理解が進んでいるように思います。
仙台市では、暮らしの中で省エネルギーやごみの3Rなどに楽しく取り組みながら、地球温暖化の原因となるCO2を“コツコツ”削減できるキャンペーン「CO2CO2(コツコツ)減らしていいもの当てようキャンペーン」を実施しています(H21.12月〜H22.2月)。
キャンペーンはWeb参加と店頭参加の2種類があり、実践した行動をゲーム感覚でパソコンなどを使って報告するという仕組みで、抽選で協賛いただいた企業のプレゼントが当たります。
猪股
そうですね、漠然とやっても分からないので、仙台市が実施しているCO2を“コツコツ”減らしていいもの当てようキャンペーンは、今日何をしたから何キログラム削減できたと表示されるので、非常にいいですね。実は私もCO2 CO2(コツコツ)に登録しました。(笑)
市長
ゲーム感覚でやれますよね。パソコンを使ってポイントがどんどん貯まっていく様子をチェックできるという、このような企画作りは、若い職員の方が手馴れているなあ、と思います。
環境教育
猪股
座談会写真頭が固くなった親の世代に、環境配慮について言ってもなかなか伝わりません。小学校や教育現場、科学館などで、子ども達が「こんなことをすればこれくらいCO2が削減になる」と学習して、家に帰ってから、お父さん、お母さんに「もっとこうすればよい」と言うようになればいいかと思いますね。
市長
仙台の学校では、子ども達が環境学習に熱心に取り組んでいますね。「杜の都のエコ・スクール」という取り組みの中で、子ども達が自分たちにできる環境に関する目標を立てて取り組みを続けています。また、ここ数年は、新たな試みとして、学校で節約した光熱水費の一定割合を学校に還元するという事業を実施しています。仙台市の124校の小学校のうち30校ぐらいがチャレンジしています。一年間にすごく頑張ったところでは、光熱水費を100万円以上も節約したんですよ。そのうちの半分は、学校の判断で運動遊具や備品を買っていいことにしているのですが、子ども達も喜びます。具体的に自分たちに何かが返ってくると嬉しいですよね。子ども達なりにできることをさせながら、どういう具体的な結果につながるのか、ということをきちんと見せていくと、家庭に帰ってからもそれを実行しようとしますね。
猪股
そういう意識を大人になってもずっと持ってくれればいいですね。どこでギャップが出るんでしょうか。
市長
そうですね、大学入学などで一人暮らしをする機会があると、ちょっとごみの分別などで意識がゆるんでしまうのかなあ、と思います。
猪股
自治体によりごみの出し方のルールが違いますから、戸惑っているうちに判らなくなってしまうこともあるようですね。
公共交通機関の促進
市長
今は、大学のご協力をいただいて、入学時のオリエンテーリングで仙台市のごみの出し方を説明しています。それから、大学生になるとバイクや自動車に乗るようになりますが、やはり公共交通機関に乗っていただくことがエコで大事なことです。仙台市では、実証実験を経て、4月から、通学定期券に比べ低価格で、また、全線で乗り降り自由といった非常にお得な定期券である「学都仙台 市バス・地下鉄フリーパス」を大学生などすべての学生・生徒等を対象に販売しますので、使ってもらうだけでエコになります。
猪股
東北大学青葉山キャンパスでは なるべく使ってもらうようにしています。学内の移動手段もキャンパス構想で今検討中です。でも、最近の学生は車やバイクではなく、自転車の学生が多いですね。
市長
一つのブームでしょうかね。ただ、事故が増えるのがちょっと心配ですね。
猪股
大学の安全管理も交通安全が一番の問題です。
市長
そういった意味からも、東北大学のご協力で、4月に新入学生全員に「フリーパス」の案内を大学の案内と一緒に入れさせていただいたことは、とても効果があったのではないかと思います。
猪股
昨年は実験的に行っていた「フリーパス」ですが、利用者は結構いたようです。
市長
座談会写真アパートから大学、家庭教師先やバイト先などと複数の場所を移動しているようなので、フリーパスのメリットは大きいみたいですね。
猪股
特に1、2年生は多いですね。
市長
大学の新入生用の資料の中にバス会社の案内を入れるなんていうことは、少し前なら実現しなかったかもしれませんね。公共交通の促進が交通安全にもつながり、環境にも良いことだと大学からもPRしていただけることは大変ありがたいことですし、大変よかったなあと思います。
周辺が改善されることによる利益
山岡
グリーン購入は、今や市民生活や企業活動のあらゆるところに関わることになっているので理解や認知度も高まりつつありますが、グリーン購入には取り組んでいるものの、ネットワークには入会しないという企業の方、また自治体があります。やはりそれだけではなく、啓発事業をすることで、もっと多くの消費者を巻き込み意識を高めることができ、そのことが企業の環境に配慮した商品開発につながるのだと思います。ネットワークへ加入し、そのネットワークを支援することが社会貢献として認められるようになれば、もっと会員が多くなり、宮城県、仙台市のグリーン購入のネットワークが広がるのではないかと考えるところです。
市長
先ほどの話になりますが、公共交通は、利用する人だけではなく、マイカーを使っている人にとっても、公共交通機関の利用が促進されれば自分が使っているマイカーがよりスムーズに動けるようになるわけです。事業者の皆さんにとっても、他を支援することによって、その事業者の方自身も環境のクリーンな社会で活動できることになります。周辺が改善されることによる利益を自分達も得ることができるという観点に立っていただかないといけないと思います。
山岡
そのような啓発が大事だということを心して、今後の活動を進めてまいります。本日は、貴重なご意見や仙台市の今後の方向性を伺うことができ、たいへん参考になりました。お忙しいところ、対談をいただき誠にありがとうございました。

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