亀山 紘 石巻市長×猪股 宏 みやぎグリーン購入ネットワーク代表幹事

グリーン購入の取り組み
山岡
みやぎグリーン購入ネットワーク事務局長を務めております山岡と申します。本日はお忙しいところありがとうございます。亀山石巻市長とみやぎグリーン購入ネットワーク猪股代表幹事との対談ということで進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
猪股
みやぎグリーン購入ネットワーク代表幹事の猪股です。本日はお忙しいところありがとうございます。石巻市は、みやぎグリーン購入ネットワーク設立当初から当ネットワークの幹事を務められ、セミナー開催などのご協力をいただき感謝申し上げます。早速ですが、石巻市は平成17年に1市6町が合併し現在に至っていますが、グリーン購入の取り組みについて苦心した点などありますか。また、市域が広範になり弊害はないですか。
亀山市長
(以下、市長)
座談会写真旧町ではグリーン購入に取り組んでいなかったので、旧町の職員の皆さんに、まず「グリーン購入」とは何かを知ってもらうところから始まりました。本庁舎と総合支所間の職員交流を進めたことなどにより、購入率は合併当初の70%から現在では90%まで伸びています。市域については555.78km2で、県内では栗原市・大崎市・仙台市についで4番目に広い市域となりました。本庁舎と各総合支所との行き来には時間がかかりますが、電子メールの利用や複数の会議を同日に行うなど効率化を図っているところです。
山岡
石巻市は、より環境に関して意識も高くなっていますし、職員の方にもグリーン購入やみちのくEMSに対して、本当にご協力をいただいているところです。グリーン購入ネットワークにも多く入会していますね。
市長
はい、そうですね。
猪股
宮城県グリーン購入大賞で、石巻森林組合が受賞していますね。
市長
森林組合は一生懸命やってもらっていますね。
猪股
私は当時の審査員でしたが、とてもいい取組でしたね。
 
デパートの建物を新庁舎に転用
猪股
環境情報センター今年度、デパートの建物を新庁舎にしたことで、環境負荷の低減が図られたことと思いますが、得られた効果はどのようなものですか。また、「環境情報センター」を設けられましたが、目に見えて変化したことはありますか。
市長
使わなくなったデパートの建物を庁舎に転用するということは、全国的にもあまり例のないことだと聞いていますし、ある意味ではおおきなリサイクルと言えます。また、石巻駅前に立地していることにより、中心市街地の活性化に資するとともに、来庁する方々や職員が公共交通機関を利用するようになったこと、屋上に50kWの太陽光発電設備を設置したことも環境負荷の低減に貢献していると考えています。
 
工業生産高県内2位・環境マネジメントシステム
猪股
座談会写真石巻市は工業生産高県内第2位でありますが、大規模な製紙会社などとどのように連携していくお考えですか。
市長
市内には日本製紙、セイホクといった大きい事業所がありますが、いずれもバイオマスボイラーを採用するとともに、ISO14001の認証を受けています。また、日本製紙は地域の古紙の再生、セイホクは地域の廃材の再利用に取り組んでおり、地域におけるリサイクルの進展に大きく貢献していただいております。
本市では、今後も、複数の事業所と公害防止協定や景観保護協定を結ぶなどにより、地域の環境保全について協力して取り組んでまいります。
猪股
水産加工業やその他多くあり、まだまだ環境に取り組んでいないところがあるかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
市長
水産加工業は本市の基幹産業の一つであり、多くの事業所が魚町地区に集中しております。水産加工排水を処理するにはコストがかかるうえに、そのまま流すと川や海を汚してしまいます。そのため、石巻市水産加工排水処理公社で下水道料金よりも安いコストで処理するとともに、排水処理の過程で発生する汚泥を有機質肥料として販売しています。
また、水産加工の際に出る原料魚の残渣についても、市内の化製場で飼肥料に加工されており、水産加工業におけるリサイクルは進んでおります。
本市には中小企業も多いので、中小企業の皆さんに環境保全に取り組んでいただくことはとても重要だと考えています。そのため、昨年から中小企業の皆さんを対象として「みちのくEMS」のセミナーを環境会議所東北様と共催で開催させていただいております。中小企業の皆さんには、環境マネジメントシステムについて知っていただくとともに、事業に役立てていただきたいと考えております。
山岡
それは素晴らしいですよね。石巻市は、市を挙げてみちのくEMSのセミナーなど定期的に開催していただいていますので、普及啓発が徹底しています。他と差別化になるんですね。また、仙台市に次いで石巻市がみちのくEMSの認証数が第2位ですね。
 
環境保全リーダー
猪股
グリーン購入は環境への市民行動として、一番取り組みやすいものです。政府が掲げている25%CO2排出削減に向けて、生活者である市民の理解、実践がなければ達成できません。その点、石巻市は環境保全リーダーの育成に力を入れていますが、どのような内容ですか。
市長
座談会写真環境保全リーダー育成講座は、合併前の旧石巻市において環境基本計画のリーディング・プロジェクトの一つとして始めた事業です。修了した方が環境教育や環境保全活動におけるリーダーになれる人材となって学校や町内会、職場、市民グループなどにおける環境保全活動を進めてほしいとの思いで実施しております。講座内容は、石巻専修大学の協力のもと、大学の教授や地域の専門家の方々の講義、現地視察、グループ研究などに取り組んでいただきます。今年度までで延べ200人の方が修了し、環境フェアへのブース出展、川開き祭りでのごみの分別、こどもエコクラブの夏季活動の支援などで活躍されています。
今年、新庁舎に移転した際に環境情報センターを設置しましたが、この環境情報センターは、環境保全リーダーの皆さんの活動拠点としても利用していただいています。
 
グリーン購入等の普及啓発
猪股
「環境フェア」も毎年開催され、みやぎグリーン購入ネットワークも参加させていただいております。来場者数も多く環境に関心の高い市民が多い、と感じておりますが、市民へ今後どのように啓発していく予定ですか。
市長
環境フェアについては、昨年度から河北地区にある河北総合センターを会場に実施していますが、今年は広報に力を入れたことにより、来場者が昨年に比べ6割増と多くの方に来ていただくことができました。今後も、開催場所、開催時期を工夫するとともに、内容についても充実させることにより、より多くの方に環境について関心を持っていただきたいと考えております。
猪股
平成16年にみやぎグリーン購入ネットワークが誕生しました。行政、事業者への普及啓発と会員拡大に努力しておりますが、なかなか拡大されていきません。石巻市内での事業者へのグリーン購入等の啓発についてお聞かせください。
市長
まず、先ほど、お話があったように環境フェアに参加していただいておりますことに感謝申し上げます。
本市では、グリーン購入の取組結果のホームページでの掲載、環境フェアやみちのくEMSセミナーなどを行っておりますが、今後もいろいろな機会を捉えて事業者の皆様へグリーン購入の意義や効果についての普及啓発を図っていきたいと考えております。
環境と産業が共生する、活力に満ちた「環境都市」を目指して
猪股
亀山市長は過去において環境審議会の会長としてご活躍されてきましたが、石巻市の環境行政を今後どのようにしていくお考えですか。
市長
本市は、楽天ゴールデンイーグルスの名前にもなっているイヌワシが生息するなど豊かな自然に恵まれておりますが、今年、ラムサール条約湿地の潜在候補地に本市から2箇所が選定されました。今後の選定に向けては、積極的に取り組んでいきたいと考えているところです。また、本市は年間日照時間では東北地方で2番目に多い自治体であることから、この特性を生かし「太陽のまち」として太陽光発電の普及を推進しているところです。
本市の環境基本計画においては、目指すべき環境像を「多様な自然との共生 心豊かな生活 未来へつなぐ美しいふるさと」としておりますが、このように地域特性を活かして、先進的な農業の一つである植物工場の誘致、グリーン産業の育成、地域資源によるバイオマスの活用など、環境と産業が共生する、活力に満ちた「環境都市」を目指してまいります。
その一つに「いしのまき水辺の緑のプロムナード計画」があります。この計画では、雲雀野海岸から北上川、そして北北上運河と水辺を散策するためのプロムナードについて検討しておりまして、3月には計画が完成する予定です。プロムナードには、市民や観光客が集い、活動できる拠点を数箇所に設ける予定です。
食材豊富な石巻
山岡
ところで、石巻市は水産業が盛んですから海産物屋さんにも頑張ってほしいですね。
市長
水産加工では、頑張ってはいますが、知名度が高いところは比較的少ないようですね。
石巻というのは、水揚げしたものをあまり加工しないで出荷しているという土地柄なので、銘柄としてはあまり出てこないかも知れません。冷凍にしたり、塩漬けにしたり、タラコなどは北転船があったときは、生産量が日本一でしたが、明太子の原料として出しているので、食卓に上るまでは加工していないんですね。
猪股
そのことを県の方が話していましたが、新潟と比較して米にしても水産業にしても生産高は同じぐらいなのに、新潟の方が最終製品を作っているのが多く見えるようです。
そこで,1次産業比率の高い東北地方においては,この1次産業製品の付加価値を上げる方策が必要だと思うのです。B級グルメなんかはその有力候補の一つではないかと思うのです。B級グルメなどを支援する仕掛け人の一人から話を聞きましたが、八戸は2000年に新幹線が開通して、2010年に青森まで新幹線が延びることがわかっていたので、この10年の間にいかに八戸のアイデンティティを高めるか。B級グルメに先駆けて、勝手連でB級グルメを始めて、今年は厚木に何十万人と人が集まりました。地域活性化の手段の一つがB級グルメといえるでしょう。B級グルメはあちこちにありますが、東北の特徴は食料自給率が圧倒的に高く、フードマイレージ、カーボンフットプリントの観点からも上手い具合に地産地消で安全なうえに「おいしい」が組み合わされると、「石巻まで何か食べにいこうか」となるのではないでしょうか。
市長
座談会写真そうですね、10月に東北四大焼きそばフェステバルを石巻で開催しました。横手やきそば、黒石つゆやきそば、なみえ焼そば、石巻焼きそば、特別ゲストにB-1グランプリの「八戸せんべい汁」やみやぎのB級グルメ代表「気仙沼ホルモン」、「登米はっと汁」などです。2日間で47,000人が訪れました。石巻市の中心市街地の駐車場が満杯になり、来場者が町の中も歩いてくれましたから、町の中の波及効果も高かったです。
山岡
やはり、焼きそばは“石巻焼きそば”ですよね。どんどん広まっていくといいですね。
猪股
横手の商工会の方によると、有名になり料理のレベルを落としてしまうと客が来なくなるから、絶対料理のレベルは落とせない、そしてサービス精神も大いに発揮する。東北・北海道は食料自給率が圧倒的に高いのでフードマイレージをやると絶対強い。相乗効果を狙って、他の地域で出来ないような特徴をもう一つつけたらいいのではと思います。
山岡
石巻市はたくさんありますよね。
市長
はい、今年から民間レベルで多くのイベントを企画して実行しています。世界ほやエキスポin石巻、B-1グランプリ、東北焼きそば、牡蠣の郷いしのまきキャンペーンなど、民間レベルでのイベントが多くなっています。そして石巻のホヤは生産量が日本一です。牡蠣は広島が多いけれど、生食は石巻が多い。また、穴子丼祭りを開催したいと考えています。実は穴子の漁獲量は全国でも有数で、そのほとんどが築地に出荷されています。
山岡
それは知りませんでしたね。
 
自然の恩恵を大切に環境を守っていく
市長
石巻は穴子がたくさん水揚げされますが、残念ながら地元ではあまり知られていません。そのため、高い値がつく首都圏に流れてしまう傾向があります。
農産物や水産物は自然と密着しているので、川や海がきれいでないといいものができません。そういう意味では、石巻は食材豊富で太平洋沿岸と北上川流域に位置する恵まれた環境にあります。我々は自然の恵を受けているのだから、環境をしっかり守っていくのが大事だと考えています。
猪股
牡鹿半島付近の海は、親潮と黒潮がぶつかり、北上川のミネラルも流れて非常に稀有な環境ですね。
市長
これまでは産業と環境が相反するものと考えられていたようですが、これからは、両立させていかなければならないという考え方に持っていかなければならないですね。
環境エネルギー、観光、産業の振興
山岡
座談会写真私たちは(NPO法人環境会議所東北)、環境甲子園を10年間開催していますが、石巻工業高校さんが最初から参加してくれて、水の浄化でカキボールとして製品化されていますね。
市長
現在、石巻工業高校では、光触媒について研究していますが、本市でも支援しています。私が作った光触媒を使って実験したんですね。なんとか水の浄化に使いたいということで石巻工業高校の先生にも頑張っていただいています。
山岡
クラブ活動の延長ではありますが、商品化になると高校生も入ってきて勉強になるというのは素晴らしいですよね。市長の理科の分野と高校生が起業し商品化するという、それは石巻市の特徴ですよね。企業が元気がないときに柔軟な高校生がソーシャルビジネスを起こすというのはとてもいい傾向ですね。
市長
私がマニフェストに掲げているのは、環境エネルギー、観光、産業の振興の3つです。
山岡
観光といえば、仙石線で石巻市に行こうとすると、仙台から快速で一時間かかるのは何とかして欲しいですね。周囲に住宅が増えて利用客も増えていると思いますので、公共交通機関を利用するということから本数を増やしてもらうといいですね。
市長
それには、仙台からのお客を呼んで仙石線を使って来た方に、観光のルートをしっかり作ってイベントをして呼び寄せる。利用頻度が高くなければJRは動きませんからね。また、新しい車輌を入れる場合、トンネルが狭い場所もあって難しい問題もあります。
猪股
先ほど市長がおっしゃいましたが、環境とエネルギーは森林組合のようにバイオマス資源をトータルで考え、費用はカーボンオフセットにできるような形で出すというのもやはり、地域創出ですよね。
市長
はい、そうですね。
山岡
環境・観光・産業を柱にしていくことが大事だということを心して、今後の活動を進めてまいります。本日は、貴重なご意見や石巻市の今後の方向性を伺うことができ、大変参考になりました。お忙しいところ、対談をいただき誠にありがとうございました。
 

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